保険の基礎知識

収入と保険の支払い、適切なバランスは?

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保険に加入する際は、どのような点を重視しますか?

月々の保険料が無理なく支払える金額であること、必要な保障が備わっていること、貯蓄性があること、契約後のサポートサービスが手厚いこと。

人によって重視したいポイントはさまざまでしょう。

 

重視したいポイントに優先順位をつけることは大切ですが、何事もバランスが大切です。

必要と思われる保障をすべて確保するために、収入に見合わない保険料を支払うことは、賢明だとは言えません。

 

この記事では、保険料と保障のバランスについて考えてみましょう。

 

必要保障額からの算出

保険を考えるうえで避けて通れないのが、『必要保障額』を考えることです。

必要保障額をきちんと計算しないと、いざというとき保障が不足するおそれもあります。

反対に、無駄な保険料を支払っているかもしれませんから、計算は複雑ですがきちんと行いましょう。

 

必要保障額とは

万一、一家の大黒柱が死亡したとき、残された家族が安心して生活するためには、ある程度のお金が必要です。

そのために保険があり、保険に加入するうえで必要保障額の考え方が重要になります。

 

必要保障額とは、遺族の生活費や教育費などの費用から、死亡後に入ってくるお金(遺族年金、貯蓄、所得、死亡退職金など)を差し引いた金額のことを言います。

そのため、必要保障額は、世帯構成や貯蓄額、持ち家の有無などによって大きく変わります。

 

死亡後の遺族の生活費と教育費を計算してみよう

死後の支出として、家族が生活を立て直すまでの生活費と、子どもがいる家庭は子どもの教育費分、葬儀費用、持ち家があればリフォーム費用、賃貸ならば住宅費用が必要です。

 

【生活費】

配偶者が働いている家庭で、大黒柱が亡くなった後も継続して働ける場合、備えておくべき金額は年収の3倍だと言われています。

しかし、働けない事情がある場合は、子どもの独立まではそれまでの生活費の7割を、子どもの独立後は5割を備えておくと安心でしょう。

自分の平均余命と、子どもの独立までの年数を計算し、細かに生活費を算出する必要があります。

 

持ち家があれば住宅費はかかりませんが、経年劣化に対応するリフォーム費用としてまとまった資金が必要です。

また、賃貸ならば住宅費として一定の金額を備えておかなければなりません。

 

【教育費】

支出の中でも大きな金額となる教育費は、いったいどれほど必要なのでしょうか。

 

文部科学省が発表する『平成26年度子供の学習費調査』によると、教育費の目安は、公立幼稚園の場合は約22万2千円、私立幼稚園は約49万8千円。

公立小学校は約32万2千円、私立小学校は約153万6千円。

公立中学校は約48万円、私立中学校は約133万9千円。

公立高等学校は約41万円、私立高等学校は約99万5千円とされています。

※いずれも年間の授業料

 

さらに、大学費用は、国立の場合、入学金が約39万4千円、年間平均授業料は約53万6千円、私立の場合、入学金が約25万6千円、年間授業料は約86万8千円、というのが平均的な数字です。

 

以上を踏まえると、次のようなことが言えます。

  • 公立の幼稚園から高等学校まで在学、国立の大学に進学した場合:約1,000万円
  • 中学校まで公立、高等学校・大学は私立:1,400万円
  • 幼稚園から大学まで私立の場合:約2,300万円

 

ただし、習い事や下宿の要否によっても差が発生します。

奨学金を借りるという選択肢もあるでしょう。

また、子どもが複数いればその数だけ教育費はかかりますし、子どもが小学生の家庭の必要保障額と、大学生の家庭のそれには、当然ながら大きな差があります。

 

死亡後に入ってくるお金を計算してみよう

次に、死亡後に入ってくる予定のお金を計算してみましょう。

収入が見込めるものとして、社会保障(遺族年金・死亡一時金)、企業保障、自己資産、配偶者の勤労収入などが挙げられます。

 

【社会保障】

死亡後に遺族に支払われる大きな保障として、『遺族年金』があります。

遺族年金とは、国民年金または厚生年金保険の被保険者が亡くなったとき、その対象者によって生計を維持されていた遺族が受け取ることができる公的年金です。

基礎年金(全員加入)から支払われる遺族年金を『遺族基礎年金』、厚生年金(会社員・公務員が加入)から支払われる分を『遺族厚生年金』と言います。

 

受給要件や対象者、給付額はそれぞれ以下のとおりです。

 

〈遺族基礎年金〉

  • 老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき
  • 保険料納付済期間が加入期間の3分の2以上ある
  • 死亡した者によって生計を維持されていた18歳以下の子を持つ配偶者と子が対象
  • 給付額は779,300円+子の加算(1人目、2人目は224,300円、3人目以降は74,800円)

 

〈遺族厚生年金〉

  • 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき
  • 保険料納付済期間が加入期間の3分の2以上ある
  • 死亡した者によって生計を維持されていた妻、子、孫、55歳以上の夫、父母、祖父母が対象
  • 給付額は、{平均標準報酬月額×125/1,000×平成15年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬月額×5.481/1,000×平成15年4月以後の被保険者期間の月数}×3/4の計算式で求められる

 

また、国民年金の保険料を3年以上納めた人が老齢基礎年金、障害基礎年金のいずれも受けずに亡くなり、上記の条件を満たさなかったために遺族年金が給付されない場合、遺族は『死亡一時金』を受け取ることができます。

金額は、保険料を納めた月数に応じて12万円~32万円です。

他に、『寡婦年金』を受け取れる可能性もあります。

 

年金額などの詳しい情報は、定期的に届けられるねんきん定期便や、お近くの年金事務所で確認してみてください。

 

【企業保障】

会社員ならば、死後遺族に死亡退職金や弔慰金が企業から支払われることがあります。

住友生命保険が実施した、『企業の福利厚生制度に関するアンケート調査結果について』によると、全企業のうち約95%が弔慰金制度、約78%が死亡退職金制度を導入しているとの結果が出ています。

他に、通勤災害補償制度(労災保険に対する上乗せ補償)や遺族・遺児育英年金制度を導入している企業もあります。

 

役職や勤続年数によって金額が異なることが多いので、ご自身が勤める会社の制度の内容を確認しておきましょう。

 

【自己資産・配偶者の勤労収入】

預貯金額はもちろん、有価証券(株式や国債など)、売却可能資産の保有状況を確認しましょう。

また、大黒柱亡き後、配偶者が子育てをしながらそれまでと同じように働けるのかシミュレーションすることも大切です。

 

以上から求められる必要保障額の平均は

以上の支出から収入を差し引いた金額が、必要保障額として求められます。

自営業か会社員かによって大きく変わりますし、子どもの進路や配偶者の所得、持ち家の有無にも大きく左右されます。

平均的な死亡保険金額を以下に挙げますが、平均値はあくまで目安だと捉えてください。

 

世帯主の普通死亡保険金額・全生保(世帯主年齢別)

(単位:万円)

 

現実の収入と生活とのバランス

次に、支払える保険料額を考えてみましょう。

必要保障額を確保するための保険料が高すぎて、今の生活を圧迫しては本末転倒ですから、バランスを考えることが大切です。

 

保険料、みんなどれくらい払ってる?

生命保険文化センターの発表する『平成27年度 生命保険に関する全国実態調査』によると、1年間の保険料支出として1世帯あたり最大いくらまで支払えるかという質問に対し、12万円未満と答えた世帯がもっとも多く、15.5%でした。

続いて、12〜24万円が14.3%、24〜36万円が12.6%、36〜48万円が6.2%と続き、全体の平均は33.9万円となっています。

月の保険料額を1〜3万円ほどに抑えたいという人が多いことが見てとれます。

 

また、同調査の実際に支払っている保険料額に関する質問に対しては、世帯主年齢別に以下のような結果が出ています。

 

世帯年間払込保険料(全生保)[世帯主年齢別]

(単位:万円)

 

年収に対する保険料の割合は?

上記で挙げた数字はあくまで年代別の平均額であって、年収を考慮していません

大切なのは、収入とのバランスです。

同調査では、世帯年間払込保険料対世帯年収比率の平均は、7.4%という結果が示されています。

生活スタイルによって最適な比率は変わりますが、10%を超えると家計を圧迫してしまうかもしれません

ただ、年収に対する保険料の割合ありきで保険を選ぶことは危険です。

年収の高い人にとっては保険料負担が過大になってしまうこともあります。

大切なのは、「必要保障額をカバーする保険に加入すること」です。

 

保険料を抑える方法としてもっとも簡単なのが、定期保険を活用する方法です。

定期保険は他の死亡保険に比べ、掛け捨てである分保険料が安く設定されています。

 

多種多様な保険から最適な保険を選ぶならプロに相談を

必要保障額の算出は、決して単純ではありません

公的保障の金額の算出を誤ったり、必要な出費の考慮が漏れていたり、自分で求めるのは難しい部分もあります。

また、必要保障額を確保するためには、終身保険、定期保険、収入保障保険、養老保険、学資保険など、さまざまな保険から最適なものを選ばなければいけませんから、幅広い保険の知識が必要となります。

 

そのため、豊富な知識を持つファイナンシャルプランナー(FP)など、プロに相談することをおすすめします。

 

ファイナンシャルプランナーに相談するメリット

ファイナンシャルプランナーは、保険だけに限らず、以下のようなお金に関する幅広い知識を持っています。

 

  • ライフプランニングと資金計画(マイホーム取得や子どもの教育資金作り、老後の生活設計、社会保険の仕組みなどについて)
  • 金融資産運用(金融・経済・金融商品の運用について)
  • タックスプランニング(所得税をはじめとする税金について)
  • リスク管理(生命保険・損害保険について)
  • 不動産(不動産に係る法規等や不動産の購入・譲渡にかかる税金、不動産投資信託などについて)
  • 相続・事業承継(相続税や贈与税について)

 

そのため、必要保障額の計算や家計と保険料のバランスに関するアドバイスはもちろんのこと、老後や相続を見据えた保険選び、その他の資産運用に関するアドバイスを受けることができます。

 

必要保障額は定期的な見直しが必要

先にも述べましたが、教育費は子どもが小学生である家庭と大学生である家庭では大きく異なります。

他にも、マイホームを購入し、団体信用生命保険に加入すれば、必要保障額は減らせる可能性があります(万一死亡したら、残債が団体信用生命保険から返済されるため)。

 

このように、必要保障額は家族を取り巻く環境の変化に応じて変わります。

その時点では最適な保険に加入したとしても、数年経てば現状に見合わなくなる可能性があるので、定期的に必要保障額を見直しましょう

必要保障額以上の保険に加入していれば、保険料を削れる可能性もありますから、貯蓄が生まれるかもしれません。

長く付き合えるファイナンシャルプランナーがいれば、見直しのタイミングに的確なアドバイスをしてくれるので、安心ですね。

 

家族の安心のために、保険料と保障のバランスを

保険を選ぶ際は、「保険料をいくら支払えるか」という観点で選ぶことも大切ですが、まずは必要保障額を把握することが先決です。

 

必要保障額はいくらか

保険料をいくら支払えるか

条件を満たす保険はどれか

 

①〜③の順で考えていきましょう。

見直しの際も、考える順序は同様です。

 

①②の条件を満たす保険は、1つかもしれませんが、ほとんどの場合複数の保険に加入する必要が出てくるでしょう。

たとえば、終身保険とともに必要保障額が大きくなる時期だけ定期保険に加入する、保障額が年月を経るとともに減っていく『逓減定期保険』に加入するなど、選択肢はさまざまです。

どのような保険が最適なのかを見極めるためには知識も必要ですから、プロに相談することをおすすめします。

 

必要保障額を知り、それをカバーする保険に加入するということは、家族みんなの安心にもつながります。

悩んでいる方は、早めにファイナンシャルプランナーなどに相談してみてくださいね。

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