保険の基礎知識

契約前に要確認!生命保険・医療保険における高度障害状態とは?

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生命保険は死亡したときだけに支払われるもの、医療保険は入院や手術を行ったときだけに支払われるもの、と思っている方も多いですが、実は対象となる条件はそれだけではありません。

高度障害状態という、非常に重い障害状態になった場合も、保険が役立つ可能性があります

治療や介護が必要なご本人、そして経済的にも苦しい状況になるであろうご家族にとって、保険は心強い存在になってくれるはずです。

 

今回は、高度障害状態と、その状態になったときに支払われる高度障害保険金、保険料免除について詳しく解説します。

 

高度障害状態とは?

高度障害状態とは、病気やケガを原因とし、身体の機能が重度に損なわれている状態をいいます。

一定の状態になったとき、加入している保険から、保険金の受け取りや保険料の免除といった形で保障を受けることができます。

 

高度障害保険金とは

被保険者が高度障害状態になった場合、生命保険から『高度障害保険金』が支払われます。

高度障害保険金が支払われると同時に契約は終了となり、死亡保障は消滅します。

特約が付いている契約であれば、特約もすべて終了となります。

 

高度障害保険金は、死亡保険金と同額です。

死後遺族に残す死亡保険金が生前被保険者のために支払われるようなイメージで、高度障害保険金と死亡保険金が重複して支払われることはありません。

 

高度障害保険金の保障がある保険

高度障害保険金の保障があるのは、死亡によって一定の保険金が支払われる保険です。

終身保険・定期保険・収入保障保険などが該当します。

災害死亡割増特約にも高度障害保険金の保障がありますが、事故や所定の感染症を原因とする場合に限られます。

 

また、団体信用生命保険(住宅ローンを組んだときに加入する保険)も、高度障害状態になったとき、死亡した際と同様住宅ローンが弁済されることを知っておきましょう。

 

高度障害状態になると保険料が免除になる保険

高度障害状態になると、保険料が免除になる保険もあります

保険料免除特約や保険料免除特則のついた医療保険や個人年金保険などが該当します。

学資保険の場合、契約者が高度障害状態になった場合に以後の保険料が免除になる可能性があります。

 

以後の保険料をまったく負担することなく保障を継続できる、ありがたい制度ですね。

 

高度障害保険金の受取人

高度障害保険金の受取人は、死亡保険金受取人ではなく、被保険者本人となる点に注意が必要です。

 

しかし、症状によっては本人が請求を行えないおそれもあるでしょう。

判断能力がないなど、特別な事情がある場合は、『指定代理請求人』から請求を行うことができます。

信頼の置けるご家族などを指定代理請求人にあらかじめ指定しておきましょう。

指定代理請求人に指定できる親族の範囲は、保険会社によって異なる可能性があります。

 

高度障害保険金支払いの条件

以下の3つの条件をすべて満たした場合のみ、高度障害保険金が支払われます。

 

  • 高度障害の原因が、責任開始日以後に発生した不慮の事故を原因とする傷害、または責任開始期以後に発病した病気であること(責任開始日とは、保障が始まる日のことで、告知か第一回保険料払い込みいずれか遅い方の日)
  • 約款に定められた高度障害状態にあること
  • 症状が固定しており、回復の見込みがないこと

 

以上の条件を満たすかどうか、支払い可否の判断は、医師の診断書をもとに行われます。

請求の際は、保険会社所定の診断書を医師に証明してもらい、保険会社に提出します。

 

高度障害保険金は非課税

高度障害保険金は、全額非課税です。

ただし、保険金を受け取った本人がそのお金を遺して死亡した場合、相続税が課税される点に注意しましょう。

 

高度障害状態の具体的な症状

では、約款に定められた高度障害状態とはどのような内容なのでしょうか。

実際の医療保険の約款を参考に見てみましょう(引用元:アフラック ご契約のしおり・約款)。

高度障害状態は7つあります。

具体的な症状をそれぞれ説明します。

 

約款に記載されている高度障害状態

約款の後ろに別表があり、そこには以下のように記載されています。

 

〈対象となる高度障害状態〉

1.両眼の視力を全く永久に失ったもの

2.言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの

3.中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの

4.胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの

5.両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの

6.両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの

7.1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの

8.1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

引用元:アフラック ご契約のしおり・約款

 

それぞれ、具体的な内容を確認していきましょう。

 

【両眼の視力を全く永久に失ったもの】

両眼の視力を失うというのは、全盲でなくても該当する可能性があります。

両眼の矯正視力が0.02以下になり、回復の見込みのないものも含まれます。

 

ただし、視野狭窄(視野の一部が欠けている状態)や眼瞼下垂(まぶたが下がって目が閉じてしまう状態)による視力障害は、該当しません。

また、矯正視力であることが条件なので、眼鏡やコンタクトを使用した視力が0.02以上あれば該当しません。

 

【言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの】

言語の機能を失うとは、話すことができなくなった状態です。

大きく、語音構成機能障害、中枢性失語症、声帯全部摘出といった原因があります。

  • 語音構成機能障害:口唇音(ま行音、ぱ行音、ば行音など)、歯舌音(さ行音、た行音、ら行音など)、口蓋音(か行音、が行音、や行音など)、喉頭音(は行音)のうち、3種類以上の発音ができない
  • 中枢性失語症:脳言語中枢の損傷により、言語を操る能力に障害が残った状態
  • 声帯全部摘出:喉頭がんなどにより、声帯の全摘出手術を行い、発音が不能になった状態

 

そしゃくの機能を失った状態とは、流動食以外のものは摂取できない状態を指します。

 

【中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの】

「常に介護を要するもの」とは、以下の日常動作をいずれも自分の力で行えず、常に他人の介護を必要とする状態です。

  • 食物の摂取
  • 排尿・排便・その後の始末
  • 衣服の着脱・起居・歩行・入浴

 

杖や手すりを使えば歩けるような状態、手すりを使えば自分でなんとか入浴できるような状態は、高度障害状態に該当しません。

 

【両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの】

【両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの】

【1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの】

【1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの】

手関節とは、手首の関節のこと、足関節とは、足首の関節のことです。

手首以上、肩の間、または足首以上、股関節の間に欠損が生じた場合に該当する可能性があります。

また、「その用を全く永久に失ったもの」とは、完全に運動機能を失った状態、完全硬直で回復の見込みがない状態をいいます。

 

障害年金の障害等級とは異なる

国の法律である身体障害者福祉法・国民年金法に定められる障害等級や、公的介護保険制度に定められる要介護状態と、民間保険の高度障害状態の条件はまったく異なります

たとえば、ペースメーカーの埋込や人工透析を受けている患者は、身体障害者福祉法に従うと身体障害者等級1級に該当しますが、高度障害状態ではありません。

 

「障害年金の受給や介護保険の介護サービスを受けている=高度障害保険金も受け取れる」とは限りませんので、注意してください。

 

保険会社による高度障害状態の違い

高度障害状態の規定、高度障害保険金の支払い条件は、各保険会社間でほとんど差が見られません

文言の違いはあるかもしれませんが、どの会社もおおよそ上記の条件だと考えてよいでしょう。

団体信用生命保険も、内容はほぼ変わりません。

 

しかし、実際の支払い可否の判断は保険会社によって差が生じる可能性があります

客観的に見て明らかに該当するケースはどの会社も同じ判断になると思いますが、高度障害状態と言い切れないケースでは判断が分かれる可能性もあるでしょう。

 

〈参考〉所定の身体障害状態というのもある

高度障害状態と似たもので、「所定の身体障害状態」という条件もあります。

医療保険などは、高度障害状態になったときに加えて、「不慮の事故を原因として、事故から180日以内に所定の身体障害状態になったとき」にも保険料が免除になります。

 

〈所定の身体障害状態〉

・片眼の視力を全く永久に失った場合

・両耳の聴力を全く永久に失った場合

・1上肢を手関節以上で失ったか、1上肢の用もしくは1上肢の3大関節中の2関節の用を全く永久に失った場合

・1下肢を足関節以上で失ったか、1下肢の用もしくは1下肢の3大関節中の2関節の用を全く永久に失った場合

・10手指の用を全く永久に失った場合

・1手の5手指を失ったかまたは第1指(母指)および第2指(示指)を含んで4手指を失った場合

・10足指を失った場合

・脊柱に著しい奇形または著しい運動障害を永久に残す場合

引用元:アフラック ご契約のしおり・約款

 

高度障害状態と症状は似ていますが、所定の身体障害状態のほうが少し幅が広いと言えます。

また、所定の身体障害状態による保険料免除も、責任開始日以後に生じた事故が原因であること、回復の見込みがないことが条件となります。

 

高度障害状態になったら保険金が必ず受け取れるとは限らない

高度障害状態になったら、ただちに保険金が支払われるとは限りません

先ほども述べたように、「高度障害の原因が、責任開始日以後に発生した不慮の事故を原因とする傷害、または責任開始期以後に発病した病気であること」、「症状が固定しており、回復の見込みがないこと」といった条件も満たさなくてはいけません。

 

責任開始日前に発病した病気やケガが原因の場合は対象外

責任開始日より前に発病した病気や発生したケガが原因である場合、高度障害保険金を受け取ることはできません

 

〈対象となる例〉

責任開始日前に片腕の運動機能を失っており(告知済み)、責任開始日以後に発生した事故によってさらにもう一方の腕を失ったケース

対象外の例〉

責任開始日前に事故に遭い、責任開始日後に終身常に介護を要する状態で症状が固定したケース

 

また、告知書に正しい告知を行わなかった場合は、対象外となる可能性があります。

 

回復の見込みがある

先ほど述べた7つの状態に一時的に該当したとしても、回復の見込みがあれば高度障害保険金は支払われません。

高度障害状態に該当するかどうかの審査は、医師の診断書をもって行われます。

すなわち、医師が「回復の見込みあり」と証明すれば、高度障害保険金は支払われません

 

回復の見込みのあり/なしは医師によっても判断が分かれるところかもしれません。

一般には、180日(6ヶ月)経過して症状の程度に差が見られなければ、「回復の見込みなし」と診断することが多いですが、医師として断言するのが憚られるかもしれません。

 

治療に手を尽くし、患者を健康に導く医師が「回復の見込みはない」と言うような状態ですから、高度障害保険金の支払い基準はかなり厳しいと言えます。

しかし、それほどの状態だからこそ、保険が大きな助けとなるのだと言えます。

 

免責事由に該当したとき

高度障害の原因が以下の場合は、保険金が支払われない可能性がありますが、ほとんど該当することはないでしょう。

  • 保険契約者または被保険者の故意
  • 被保険者の自殺行為
  • 被保険者の犯罪行為
  • 戦争その他の変乱

 

「高度障害状態と保険」は家族みんなで知っておくこと

責任開始日以後に発病した病気、発生した事故によって、高度障害状態になり、回復の見込みがないと医師が認めた場合は、高度障害保険金を請求することができます

また、保険料免除特約(特則)のついた医療保険などは、保険料免除が認められ、以後の保険料を支払うことなく保障を継続することができます。

 

高度障害状態は、非常に重い体の状態です。

働くことができず、長く続く治療や介護が必要となり、経済的に困窮するおそれがありますから、保険が役に立つことを知っておきましょう。

また、家族にも保険に加入していることや保障内容を共有しておくことも大切です。

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