保険の基礎知識

生命保険・医療保険の告知義務違反とは?知らずに保険を受け取れないことも・・・・・・

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生命保険や医療保険に加入する際、ほとんどの場合健康状態の告知、または医師の診査が求められます

告知書への記入は、必ず正確に行わなければいけません。

もしも誤りがあった場合、加入者にどのようなデメリットがあるのでしょうか。

 

この記事では、告知書へ虚偽の記載を行った場合に問われる『告知義務違反』について詳しく説明します。

「知らなかった!」で損をしないために、保険への加入を検討している方は必ず知っておきましょう。

 

告知義務違反とは?

告知義務とは

保険は、保険会社とそれぞれの契約者の間で交わされる契約(法律行為)です。

契約を交わすということは、互いに権利・義務の関係が生じる、つまり、「一定の約束事をお互いに守りましょう」と約束することです。

 

保険会社が契約者に約束することのうち、もっとも大きなものは、「被保険者に万一のことがあったとき、給付金や保険金を支払うこと」です。

一方で、契約者にも守らなければならない約束事があります。

それが、「決められた保険料を支払うこと」や、「病歴や健康状態、職業などの重大な事項について、ありのまま正しく告知すること」などです。

契約者がこれらの約束を守らなければ、保険会社も約束を守る義務がなくなります。

 

これらの約束事はすべて約款に記載されており、契約を交わし、約款を受け取った時点で、契約者は約款に合意したとみなされます。

 

なぜ告知義務があるのか?

生命保険は、多数の加入者から一定の保険料を集め、本当に必要なタイミングで本当に必要な人に対して給付金・保険金を支払うシステムで成り立っています。

加入者の中に、初めから健康状態の良くない死や病のリスクの高い人や、給付金で利益を得る目的で加入しようとする人がいれば、公平性が保たれません

あらかじめ給付金・保険金の金額を予測したうえで積み立てておいたお金が、足りなくなるおそれもあります。

そのため、告知義務を課し、リスクの高い人を排除したり、特別な条件をつけて引き受けたりし、できる限り加入者間の公平性を保っているのです。

 

告知における3つのルール

告知を行う際は、次の3つのルールを必ず守らなくてはいけません。

  1. 必ず書面にて行うこと
  2. ありのままに告知すること
  3. わからないことは保険会社に確認すること

 

告知は、必ず書面にて行われなくてはいけません。

たとえ保険会社の営業社員や代理店の募集人に病歴などを口頭で説明したとしても、それは告知とはみなされません。

 

告知は、正確に行われなくてはいけません。

告知に虚偽があれば、保険の公平性が保たれなくなるためです。

また、曖昧にごまかすような表現も絶対にやめてください。

 

③告知書の内容は細かく、分かりづらい点もあるかもしれません。

そんなとき、わからないまま回答するのではなく、きちんと不明点を保険会社の営業社員や代理店の募集人に確認しながら進めてください。

 

なお、告知の方法は、告知書への記入のみによって行われる場合と、健康診断書・人間ドックの結果表の提出や医師による診査を必要とする場合があります。

医師による診査を受ける場合も、問診で虚偽の報告を行ってはいけません

 

告知義務違反とは

告知義務違反とは、保険会社所定の告知書に該当する項目があるにもかかわらず、告知をしない、あるいは虚偽の記載を行うことを指します。

告知の3つのルールの②に背く行為となります。

 

告知は「義務」ですから、違反するとさまざまな代償があり、後々後悔を招く結果になるかもしれません。

この代償については、後ほど説明します。

 

告知すべき項目とは?

具体的には、どのようなことを告知しなければいけないのでしょうか。

幼い頃の骨折のケガや、数十年前の盲腸手術の履歴などまで告知する必要はあるのでしょうか。

 

告知は、告知書に従って行います。

裏を返せば、告知書に該当しない項目は特に告知する義務はありません

告知書の内容を順番に紹介します。

以下の質問に、「はい」か「いいえ」で答え、「はい」の場合は詳細を記入していきます。

 

最近の健康状態について

〈告知書の質問例〉

  • 最近3か月以内に、医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかをうけたことがありますか。

 

病気やケガに限らず、「医師にみてもらった」事実があれば、この項目の「はい」に丸を付け、受診内容の詳細を書かなければいけません。

歯の治療に関しては、単なる虫歯の治療に関しては告知不要としている会社もあります。

 

過去の病歴について

〈告知書の質問例〉

  • 過去5年以内に、病気やケガで、継続7日以上の入院をしたこと、または手術をうけたことがありますか。
  • 過去5年以内に、所定の病気(※)で、一度でも医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかをうけたことがありますか。
  • 過去5年以内に、所定の病気以外の病気やケガで、通算して7日以上にわたり医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかをうけたことがありますか。

※所定の病気の例:

高血圧、狭心症、脳内出血、うつ病、てんかん、認知症、ぜんそく、胃かいよう、慢性肝炎、肝硬変、胆石、慢性腎炎、白内障、メニエール病、子宮筋腫 など(他にも多数あります。また、保険会社によって告知を求める病名はさまざまなので、詳しくは告知書を確認してください)

 

上記の質問に当てはまる項目があれば、必ず「はい」に丸を付けたうえで詳細記入欄に記載しましょう。

病気やケガの名前はもちろん、治療の期間、受診先の病院名、経過など、告知書で求められている項目を事細かに書かなくてはいけません。

反対に、7日未満の入院などは告知の必要がありません。

当てはまらなければ、「いいえ」に丸を付けてください。

 

健康診断・人間ドックの結果について

〈告知書の質問例〉

  • 過去2年以内に、健康診断・がん検診・人間ドックをうけて、以下の検査の項目で異常を指摘されたことがありますか。
    検査項目:
    診察、血圧、血液、尿、便、心電図、眼底、眼圧、肺機能、内視鏡、超音波・レントゲン・CT・MRI・PET・マンモグラフィー、組織・細胞・ウイルス検査、脳検査

 

勤め先で実施される健康診断や、自発的に受けたがん検診や人間ドックの結果も告知の対象です。

保険会社によっては、指摘の部位を限定して告知を求める場合も。

 

なお、「異常には、要再検査・要精密検査・要治療を含み、要経過観察は含みません」といった文言があれば、要経過観察については告知する必要がありません。

 

身体障害の有無について

〈告知書の質問例〉

  • 視力、聴力、言語、そしゃく機能に障害がありますか。
  • 手、足、指について欠損や機能障害がありますか。
  • 背骨に変形や障害がありますか。

 

矯正視力が0.3に満たない、流動食以外は摂取できないなどの状態が当てはまります。

 

がんの病歴の有無について

〈告知書の質問例〉

  • 今までに、がんにかかったことがありますか(肉腫・白血病・悪性リンパ腫・骨髄腫を含む)。

 

がんにかかったことがあれば、「はい」に丸を付け、詳細を記入してください。

がんについては、「◯年以内に」といった文言がなく、「今までに」ですので、どんなに昔の既往であっても、たとえ完治していたとしても、書かなくてはいけません

 

女性の方のみ対象:妊娠・分娩について

〈告知書の質問例〉

  • 過去5年以内に、妊娠・分娩にともなう異常で、入院したり手術を受けたことがありますか。
  • 現在妊娠していますか。

 

これらの質問には、男性は回答する必要はなく、満16歳以上の女性は必ず回答しなければなりません。

妊娠・分娩にともなう異常には、帝王切開も含まれることに注意しましょう。

 

職業告知も正しく

申込書・告知書には、職業を記入する欄がありますが、これも正しく申告しなければいけません。

保険によっては、危険度の高い職業(例:テストドライバー、スタントマン、潜水士など)に対して加入を断る場合もあります。

 

いずれの質問に対しても、記入すべきか悩む内容があれば、必ず保険会社の営業社員や代理店の募集担当者に必ず確認してください。

 

告知義務違反をするとどうなる?

先ほど、告知義務違反をすると代償があると述べました。

その代償は非常に大きく、加入者は必ずと言っていいほど損をします。

「これぐらいいいか」といった軽い気持ちが、後々大きな後悔となるおそれも。

どのようなことが起こるのか、確認していきましょう。

 

契約が解除になる

故意にせよただ忘れていたにせよ、仮に告知を正しく行っていたら契約が成立しなかったような健康・身体状態であった場合、契約は「解除」になります。

解除とは、その時点から保険の効力が失われることで、始めからなかったものになるわけではありません。

そのため、それまで支払った保険料が返金されることはありません

 

給付金・保険金が支払われない

告知義務違反が発覚するのは、多くの場合、給付金・保険金の請求手続きを行ったときです。

ほとんどの請求には、医師の診断書を保険会社に提出する必要がありますが、そこに初診日・既往症などの情報が記載されます。

その情報と告知書の内容に食い違いがあれば、保険会社は詳しく調査を行います。

 

結果として告知義務違反があったと判断された場合、そこで請求した給付金・保険金は支払われない可能性が高いです。

ただし、告知義務違反に該当する病気と請求を行った病気が異なる場合は、給付金の支払いが認められるケースもあります。

 

〈例〉

  • 胃がんの既往症を告知書に書かず、保険に加入。交通事故で死亡したケース

→支払いは認められる可能性あり

  • 慢性C型肝炎による通院歴を告知書に書かず、保険に加入。肝がんで死亡したケース

→不払いとなる可能性大(慢性C型肝炎と肝がんには因果関係が認められる可能性が高いため)

 

告知義務違反を問えない例外

告知義務違反はいかなる場合でも追求されるわけではありません。

実は、消費者保護の観点から、告知義務違反による解除ができない条件が例外として2点だけあります。

 

【告知妨害・不告知教唆を受けたとき】

加入をするとき、保険会社の営業社員や代理店の募集人から告知を妨げられたり(告知妨害)、「告知しなくていいですよ」などとすすめられた(不告知教唆)場合は、告知義務違反を理由とする解除ができないことが、約款・保険法に定められています。

このようなことはないと思いたいですが、自分の営業成績のため、嘘を書かせてでも保険に加入させようという営業社員がいないとも限りません。

 

しかし、言った、言わない、の水掛け論になりますし、あなたが相手に言ったことを証明するのは難しい可能性があります。

そうなると、不利益を被るのは契約を行うあなたですから、告知妨害・不告知教唆を行うような営業社員のもとでは契約しないことが一番です。

 

【契約後2年を経過しているとき】

告知義務違反は、契約から何年経っていても追及できるわけではありません。

責任開始日(保障が始まった日)から2年を経過すると、たとえ告知義務違反があったとしても、契約を解除できないことが約款に明記されています。

 

ただし、責任開始日から2年以内に保険金・給付金の請求を行った場合は、この限りではありません

また、保険の詐取目的で加入したことなどが判明すると、保険会社は「重大事由による解除」を行うことができます。

重大事由による解除は、契約から何年経っていても行えます

 

不明点は確認を、必ず告知を忘れず!

告知の重要性、告知項目の詳細、そして告知義務違反をした場合の重い損失についておわかりいただけたかと思います。

告知義務違反が判明すると、肝心の保険金・給付金が支払われないだけでなく、契約が解除になり、今まで支払った保険料が返金されることはありません

 

告知は、加入者間で保険が平等に機能するように設けられた合理的なシステムです。

虚偽の告知をすることで、その公平性が崩れてしまいますから、絶対に行わないでください。

 

告知を正しく行ったうえで、契約が引き受けられなかった場合は、告知項目が通常より少ない『引き受け緩和型保険』や告知する必要がない『無選択型保険』といった選択肢もあります

いずれも通常の保険よりも割高ですが、保障が必要であればこうした選択肢も視野に入れてください。

 

広くたくさんの人が加入する保険だからこそ、ルールを守って正しく活用してくださいね。

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