保険の基礎知識

保険の予定利率とは?お得に保険を活用するために

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保険に加入するときは、『予定利率』を確認することでよりお得に保険を活用できる可能性があります。

予定利率とはどのようなもので、高いとき、低いときにはそれぞれどのようなことが起こるのでしょうか。

保険料に影響はあるのでしょうか。

 

この記事では、保険の予定利率を徹底解剖します。

予定利率に関する知識を持ち、少しでも賢く保険を選びましょう!

 

保険の予定利率とは

保険における予定利率とは、保険会社が契約者に約束する運用利回りのことを指します。

保険会社は、契約者から集めた保険料を責任準備金として社内で積み立てておくだけではなく、貸付や有価証券等で運用し、利益を得ています。

この運用によって得られる利益を予測し、決定するのが予定利率です。

そのため、景気が上向きになれば予定利率は上がり、反対に景気が悪くなると下がる傾向にあります。

 

予定利率と保険料の関係

 

予定利率の上下は、保険料に大きく影響します。

予定利率が高い(運用益が多い)場合は、保険加入者から集める保険料が少なくて済むため、保険料は安くなります。

反対に、予定利率が低い(運用益が少ない)場合は、多くの保険料を集めなければならず、保険料が高くなります。

 

このように、予定利率は保険料を決定する重要な要素の一つです。

少しでも保険料を安く抑えたいなら、予定利率の高いときに加入するのがよいと言えます。

 

また、保険料は、予定利率のほか、予定死亡率、予定事業費率によって決定されることも覚えておきましょう

 

【予定死亡率とは】

 

予定死亡率は、過去の統計をもとに、性別・年齢別の死亡者数を予測し、将来の保険金支払いの財源となる金額を算出するために必要となる数字です。

一般に、予定死亡率が下がれば、支払う保険金額が減る分死亡保険の保険料は下がります

一方、生存型給付保険(医療保険や介護保険など)については、給付が増える分保険料は上がります

 

予定死亡率は、社団法人日本アクチュアリー会が作成する『生保標準生命表』を基準に決定されます。

なお、2018年4月より生保標準生命表が改定されることが決定しており、全体の死亡率が下がったことによって大幅な保険料率の変更が予想されます

 

【予定事業費率】

予定事業費率とは、収入保険料のうち、保険会社の経費に充てられる割合を指します。

経費には、新契約の募集・締結に必要な『予定新契約費』、保険期間を通して保険契約を維持管理するための『予定維持費』、保険料集金にかかる『予定集金費』が含まれます。

具体的には、人件費、事務所などの地代家賃、広告宣伝費などが該当します。

 

全国各地に事務所を持つ大手保険会社や、営業社員を多く抱える保険会社、テレビコマーシャルを打つ保険会社の経費は高くなるため、予定事業費率は高くなる傾向にあります。

 

保険会社の収益構造

保険会社の収入と支出を簡潔に表すと以下の通りであり、収入と支出は原則イコールの関係となります。

 

〈収入〉

保険料総額+運用益

〈支出〉

支払保険金総額(保険金×死亡者数)+諸経費

 

そのため、運用益(予定利率)、死亡者数(予定死亡率)、諸経費(予定事業費率)の数字が上下すると、シーソーのようにバランスを崩してしまいますから、保険料も連動して上下するのです。

保険料の計算は複雑ですが、仕組みを知れば安い保険を選ぶポイントが見えてくるのではないでしょうか。

 

逆ざや問題とは

予定利率はあくまで「予定」ですから、予定通りの運用ができなければ当然保険会社には損失が生じます。

これを、『逆ざや』(利ざやの逆であることから)問題と言います。

基本的には予定利率と実際の利率に差がないように設計されていますが、バブル崩壊のような大きな景気変動があれば、逆ざやが発生します。

 

バブル崩壊後は大きな利差損を出した保険会社も多数あり、そのために破綻した保険会社がいくつもありました。

死差益(予定死亡率よりも実際の死亡率が下回ることで得る利益)や費差益(予定事業費率よりも実際の事業費率が下回ることで得る利益)などの他の利益があり、健全な財務状態にあれば倒産こそしませんが、長年この逆ざや問題に悩まされている保険会社も少なくありません。

 

そこで、この逆ざや問題を解消するためにとられた手段が予定利率の引き下げだったのです。

段階的な保険料の引き上げという形で、契約者が負担を引き受けることになったと言えます。

また、1990年代後半から2000年代にかけて倒産した保険会社で契約していた保険は、予定利率を大幅に引き下げたうえで、救済保険会社に承継されるという措置がとられました。

 

保険の予定利率と銀行の金利の違い

マイナス金利政策が導入され、“超低金利時代”と言われる現在、銀行の普通預金金利は0.001%という低水準です。

一方、保険の予定利率は0.25〜0.5%ほど。

この数字だけを見れば、「保険の方が随分お得だな」と思われるかもしれません。

 

しかし、保険の予定利率と銀行の利息はまったく別物ですから、単純な比較をしないよう注意が必要です。

保険会社の予定利率は、加入者が支払う保険料から保険会社の経費を差し引いた部分(責任準備金)に対する運用利回りです。

支払った保険料全額が年利0.25%で増えていくという意味ではありません

そのため、単純に数字の上で銀行の金利よりも良いと判断するのは早計です。

 

銀行の金利と比較するなら、『返戻率』に注目しましょう(返戻率については後述します)。

 

予定利率が決まる仕組み

「予定利率についてはわかったけれど、そもそも予定利率はどうやって決まるの?」といった疑問を抱く方も多いでしょう。

予定利率を決定する大きな基準となる『標準利率』について説明します。

 

標準利率とは

標準利率は、1995年の保険業法の全面改正(施行は1996年)にあたって導入された考え方で、金融庁が保険会社各社に対して示す予定利率の目安にあたります。

保険会社は保険金の支払いを確実に担保しなければなりませんから、消費者保護の観点から、責任準備金(将来の保険金支払いのために積み立てておくお金)が不足しないよう、金融庁が監督しているのです。

 

標準利率は、基準日(10月1日)の前月から過去3年間に発行された利付き国債(10年)の応募者利回りの平均値、またはこれの過去10年間の平均値、いずれか低いものを基準に算出されます。

 

標準利率は、バブル期にはなんと5〜6%ほどの高水準でした。

バブル崩壊後、1993年には4.75%、1994年には3.75%、1996年には2.75%、1999年には2.00%と右肩下がりが続きます。

さらに2001年には1.50%となり、丸12年間変化がありませんでしたが、2014年についに1.00%まで下がります。

 

そして、2017年4月にさらに下落し、現在に至るまで0.25%という史上最低レベルの標準利率が続いています。

標準利率の引き下げに伴い、予定利率の引き下げおよび保険料率の改定を発表した保険会社もいくつかありました。

 

標準利率の引き下げが必ずしも予定利率の引き下げをもたらすわけではない

前述したように、予定利率は標準利率に連動することは確かですが、あくまで標準利率は目安でしかありません

予定利率は、標準金利をもとに各保険会社が独自に決定しています。

 

2017年の標準金利の見直しのタイミングで保険料率の変更を発表していない会社もありますし、経営努力によって予定利率の引き下げ幅を抑え、保険料のアップ幅を極力小さくしている会社もあります。

また、医療保険や介護保険などの保障型保険については、反対に保険料の値下げを実施している会社もあります。

外貨建て保険、変額保険などは標準利率の改定が適用されませんから、こういった商品を主力に置く会社は、標準利率低下の影響をあまり受けません。

 

このように、保険会社間での差別化が今まさに行われています。

異常な低金利の中ですが、財務体質が健全な会社や巧みな経営戦略を持つ会社は、強みを生かして我々消費者に魅力ある商品を提供してくれる可能性があるかもしれません

 

予定利率は加入時のまま据え置き

予定利率の変動が影響するのは、新規契約のみです。

すでに加入されている保険には、予定利率の引き下げが影響することはなく、契約の途中でいきなり保険料が上昇することはありませんから、安心してください。

ただし、定期更新型の商品は、更新時点での予定利率が適用されますから、注意が必要です。

 

予定利率が加入時のまま上下しないということは、昔に加入した保険も、昔の予定利率のまま運用されるということです。

先ほど述べたように、30年ほど前に販売されていた保険の予定利率は5%を超える高水準でした。

支払った保険料が数十年後に倍になって返ってくるような、今では考えられないほどのお得な保険があったのです。

そのため、20〜30年前から契約を継続している貯蓄型の保険を『お宝保険』などと呼んでいます。

 

こうした保険を契約している方は、見直しをする際に注意が必要です。

お宝保険を解約し、今販売されている保険に新規加入をすれば、必ずと言ってよいほど損をします。

保険会社の営業社員から解約や契約転換などの見直しを勧められたら、お持ちの保険の予定利率を尋ねてみてください

 

予定利率が高いときのメリット・低いときの注意点

予定利率が高いときのメリット、そして低いときの注意点をあらためてまとめます。

 

予定利率が高いときのメリット

【保険料が安くなる】

前述したように、予定利率が高ければ保険会社の運用益が期待できるため、加入者から集める保険料が少なくて済みます。

そのため、保険料は安くなります。

ただし、定期保険や収入保障保険など、貯蓄性の低い保険への影響は少なく、大幅な保険料の値下げが期待できるのは終身保険や養老保険などの貯蓄性の高い保険です。

 

【返戻率が上がる】

より安い保険料で、より多くの満期保険金(返戻金)を受け取ることができれば、「返戻率が高い」と言えます。

返戻率は、以下の計算式で求めることができます。

 

〈受け取り総額÷支払保険料総額×100〉

 

返戻率が100%を上回れば、受け取る満期保険金(返戻金)が支払った保険料の総額を上回り、反対に100%を割り込むと支払った保険料総額のほうが多くなります

そのため、貯蓄型保険を選ぶ際は、返戻率に注目しましょう。

先に銀行の金利と比べるべきは返戻率だと述べたのはそのためです。

銀行に預金として預けていてもほとんど利息がつかないからこそ、保険の返戻率に注目するなど、お金を最大限活用する方法を考えることが大切です。

 

ただし、せっかく予定利率が高いときに加入した保険でも、医療特約などの掛け捨ての特約を付けている場合、全体の返戻率は下がりますから、注意が必要です。

このような場合、医療特約のみを解約し、医療保険に加入し直したほうがお得な保険料で継続できる可能性が高いかもしれません。

 

予定利率が低いときの注意点

【貯蓄性の高い保険は販売停止になることも】

終身保険、養老保険、個人年金保険、学資保険など、保険期間の長い貯蓄型保険は、予定利率の下げ幅が大きいと販売を停止することがあります

事実、2017年の標準金利引き下げにともない、いくつかの商品の販売を停止した保険会社もあります。

検討している保険があれば、予定利率に変更が起こる前に加入すべきか判断しましょう。

 

【予定利率が高いときに加入した保険の見直しは慎重に】

先ほども述べたように、お宝保険の見直しはくれぐれも慎重に行ってください。

仮に見直しの必要性を感じるならば、特約部分のみ解約する、払済保険に変更するなど、なるべく終身保険や養老保険など、貯蓄性の高い部分は継続するよう検討することをおすすめします。

 

保険は予定利率のタイミングをチェックすること!

予定利率についての理解が深まったでしょうか。

金融の専門的な内容も含むため、理解が難しい面もありますが、知っておいて損はありません。

標準利率や予定利率に注目することで、保険に加入する適切なタイミングを知ることができます

「保険に加入しようかな」、「保険を見直ししようかな」と思っている方は、敏感に情報を察知することが大切です。

 

予定利率に関する正しい知識を身に付け、少しでもお得に保険を選んでください。

自分が入っている保険の予定利率を知りたい場合は、定期的に届けられる『契約内容のご確認』で確認するか、保険会社の営業社員に尋ねてみてください

もしも予定利率の高い保険に加入しているなら、見直しは慎重に行うようにしてくださいね。

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